インタビュー:石原 彩
インタビューワー/翻訳:Kanako Yamana
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1. 簡単な自己紹介をお願いします。名前、DOB、人種・民族、性別、日本に何年住んでいるかなど
石原彩です。1988年の8月生まれで、高校生まで日本にずっと住んでいました。19歳でカナダに行ったのが初めての海外で、その後、7年半から8年ほどアメリカで留学と就職をしました。初めての就職はアメリカで、3年ほど働いた後、2017年に日本に戻ってきて、いまは東京で3年目です。アメリカではカリフォルニア、ミズーリ、ニュージャージー、ニューヨークと点々としていました。アメリカ留学中にもドイツと韓国に数か月、学校のInternational Businessのプログラムで行きました。ちょうどトランプが大統領になるあたりで帰ってきました。
2. 何がきっかけで海外に行きましたか?
きっかけは、ずーっと持っていた、英語が話せるようになりたいという漠然とした「憧れ」ですね。小学校1年生から英語は習っていて、英語に特化した高校にも行ったんですが、むしろ英語が嫌いになってしまって、、、。大学受験の時に、楽しみも我慢して勉強して、日本の大学にいっても入ったら遊んでしまうみたいな現実に「これでいいのかな?」って19歳の時に考えてしまって。それで留学してみようと思ったのがきっかけですね。周りにも家族にも留学経験者がいなかったから、安全なところ、と思ってカナダにまず留学したんですが、カナダで知り合った友人から2年間語学学校に通わないと大学に行けないという話をきいて、2年も語学学校は嫌だなと思い、入りやすいということでアメリカの大学にいきました。
3. いろいろな場所に住まれていますが、どこが一番住みやすかったですか?
住みやすいな、と思ったのはカナダとカリフォルニアとドイツですね。みんな外国人に慣れているというのがよかったです。ミズーリとかはアジア人が珍しいので目立っちゃって差別もあったけど、カリフォルニアではアジア人も多くてみんな気軽に声をかけてくれるのもよかったですね。ニューヨークは貧富の差と差別が結構ひどくて、ここで一生暮らすのは、、、って感じでしたね。日本は、自分が日本人だから、ビザの心配もないし、言葉も楽だから住みやすいけど、やっぱり外国人の数が少ないから「差別している自覚がないけどしてる人」が多いなって思うのと、私みたいに見た目も育ちも日本だと、外国のマインドをもって帰ってくると理解されずに生きづらいなと思うことはあります。
4. ジェンダー問題に興味を持ったのはいつですか?またなぜ興味を持ちましたか?
ジェンダーを意識したのは、ミズーリでの友人との出会いですね。わかりやすくこういう問題を話し合ったのは、その時が初めてかも。それまでも「違和感」を感じることはあったけど、それを誰かと話すということは特になくって、でも言われたときに、「確かに!」って納得することが多くて、なのでちゃんと興味を持ったのはミズーリで彼女と話した時ですね。例えば、家族の話などでも、彼女は異性の兄弟がいなくって、私は兄がいるんですけど、お風呂上りにノーブラでふらふらするっていう意識が全くなかったので驚いたり。お父さんいるだろうけど、彼女は気にしてなくて。もし私が同じことをやったらお母さんはびっくりするだろうなって。そこの感覚の違いは最初驚きましたね
5. そういう価値観の違いがありながらも意気投合できる部分があったんですね。
そうですね。今まで口にしなかったことも、改めて聞いたり言ったりするとすごくしっくりきて。根本の考え方は一緒なんだな、と思って。未だにお風呂上りにノーブラでは実家ではできないんですけど、でもそれの「何がいけないの??」って考えるところは一緒だなって思いましたね。
6. ご家族はどういうマインドなんですか?
もうすっごいトラディショナル!お母さんとかは、「女性らしくしなさい」とかいちいち言わないけど、そういう環境で育ってきてて、たぶん本当は違うと思うんだけど、仕事も辞めたくなくて、でも時代的に結婚したらやめるものだって辞めさせられちゃった人だから。「女性は家で家族を守る」っていう感覚。お父さんも昔はすごい亭主関白だった。今は二人とも丸くなったから違うけど、育ってきた環境としては「女の子だから家事を手伝って」っていうような環境だったかな。結婚観に関しても、今は楽しそうだからいいわって言ってるけど、前は25歳を過ぎたあたりから「今のうちにいっときなさい」みたいな感じではあったかな。
7. 日本の社会の中で、ジェンダーの面で一番驚いたこと、衝撃を受けたことは何ですか?
考え出すといっぱいありすぎるんだけど、男友達が言ってて「うわ!」って思ったのは、「あいつ女なのに毛が生えてる」とか、それは結構びっくりした。毛ぐらい生えるだろうって。あとはすっぴんでいる人を侮辱したりとか。
8. そういう男友達には何か言ったりしますか?
本当に自分にかかわりのない人だったら「言っても私の時間が無駄かな」って流しちゃうこともあるけど、ちゃんとかかわりのある人だったらちゃんと言うかな。それで友情が壊れたこともなくって、男性は根本をわかってくれてるのかは怪しいけど、ちゃんと聞いてくれる人が多いかな。女性は賛同するし。近い人たちは、考え方がちょっとヤバくっても伝えたら「すいません、、、」ってなるかな。だから伝えることへの抵抗感はそんなにない。
9. ジェンダーの不平等に関する困難や苦労にあなたはどのように対処していますか?
ニューヨークに住んでた時は、ストリートハラスメントが法律で禁止になるくらい結構ひどくて。その時は毎日イライラしてたかも。何を着ていても気持ち悪いこと言われるし、絶対男だったら言われないだろうと思ったから、それは嫌だった。知らない人なのに“That’s my girl.”って言われてもう「やめて!」って感じで。ニューヨークではほぼ毎日、駅まで行く道にそのおじさんがいて、毎日「彼女かっ!」って思うくらい。気持ち悪かった。言い返すべきだったのか、何が正解だったのかはわからないけど、ずっと無視してた。
10. あなたのどの面が比較的男性っぽいですか?また、あなたのどの面が比較的女性っぽいですか?
男っぽいは、友達や家族からも言われてて、自分でもそうかなと思うのは、ステレオタイプで行くと、「自分の道をいく」とか「頼らずに生きていける」とかでいうと、自分でやりたいと思ったことはやるし、彼氏に頼ったりもしないし、そういうのが男っぽいって言ったら確かにそうかもしれない。ただ、女っぽいってなると、そういうのを出すのは恋愛の部分が大きいかも。自分でも変わってきてはいるけど、「3歩下がる」じゃないけど、ちょっとサポートする、みたいなマインドになっちゃうことはあるかもしれない。今は思ったら言っちゃうこともあるけど、普段よりだいぶ包むし、「がんばれ、しょうがないよ、いいよ、いいよ」って本音を隠しつつ伝える。好きな相手じゃなくても、なんかくだらない世の中のコラムとかに洗脳されてるのかもしれないけど、嫌われないように、傷つけないようにっておもってやっちゃうことはあるかもしれない。恋愛に関しては、絶対自分からいかないし、受け身かもしれない。仕事と恋愛は自分の中でくっきり分かれてて、恋愛する人と仕事の話共有できなくてもいいやって思うから、性格が全然違うかも。
11. あなたの仕事または恋愛における成功の定義とは何ですか?
恋愛に関しては、価値観を重視していて、価値観があってお互い尊敬できる関係っていうのは理想。仕事に関しては、あんまり偉くなりたいとかは全然なくって、楽しく働きたいっていうのはある。今は全然できていないけど。仕事の内容もそうだし、内容に興味ないとスイッチが入らないから、興味あることを見つけて、人間関係も悩まずにできるといいなぁって。仕事は最近、一緒に働く人は結構大事かもって思う。一緒に働く人が良かったら、自分のモチベーションも違うなって感じる。
12. あなたには、 とても重要なメンターや影響力のある人がいますか?
職場ではロールモデルは全然いない。お母さんのことは尊敬していて、専業主婦ってそれだけで大変な仕事だと思うけど、子どもにたいして辛いところを見せなかったし、人としての強さは知ってる人の中で一番あるなって思う。だから母には結構何でも言える。強い部分は、自分も母の影響を受けていて、あんまりメンタル病んだりもしないし、なんかあったらどうにかしようって思うのは、お母さんのそういうところを見ていたからかもしれない。
13. あなたは、自分がフェミニストだと思いますか?
うーん、自覚はないけど、そうなんだろうなぁと思います。最初に「フェミニスト」って聞いたときは、女性の生き方とか権利とかをどんな場でも強く主張できる人、みたいな結構強めな印象を持っていて、それに比べると私は誰にも発信していないし、自分をフェミニストだとは言えないなって思ってたけど。でも、こういう考えとかを改めて自分で確認すると、そもそも外に発信しなくても、そういう考えを持っている時点でフェミニストって言うのかな、と思ってきている。
14. 将来の計画は何ですか?
自分自身は、普通にステレオタイプな部分もあるから、家庭をもって子どもを持ちたいっていうのは人生の計画としてはあって、あとはやりたいことはやっていたいなっていうのはあるから。その時々で自分がやりたいと思ったことは気にせずやりたいと思ってる。子どもやパートナーを言い訳にしないで、学校行きたければ行ったりして、やりたいことをやりたいなって今は思ってる。
15. そういう計画を持つときに、どういうサポートのある社会であればいいと思いますか?
個人的には自分がやりたいことを自分で責任もってやっていけばいいと思うけど、そう思うのは社会が変わらなさそうだなっていう期待値の低さもあるかもしれない。例えば子どもがいて、海外に比べるとベビーシッターの利用度も低いし、でも私はそれの何がわるいのって思うから、自分だったら使うし、それを良しとするパートナーとちゃんといれたらいいなと思ってる。好きにやりたいと思うけど、やれる環境を自分が作らないと、社会がやってくれない場合は、難しいなと思う。子供とかのトピックに限ると、もっとベビーシッター制度を良しとして、もっと人に頼ることを良しとするような感じとかに代わっていくといいかな。「自分の子供なのに」、とか、おじいちゃんおばあちゃんに頼る人は多いけど、それは「身内だからOK」みたいな感じとか。でも見てるとおじいちゃんおばあちゃんも大変そうだし、体力的に。別に他人の力を借りてもいいと思う。その方が交流も増えるし、子どもに関しては「これはだめ」っていう意識がみんな強いなって思う。
あやさん、ありがとうございました!今後の活躍がますます楽しみですね!彼女のInstagram(https://instagram.com/instaya_i?r=nametag)でさらなるインスピレーションを得ましょう!