インタビュー対象者:Myra Kanamaru
インタビュー実施者:Kanako Yamana
1. 簡単な自己紹介をお願いします。名前、DOB、人種・民族、性別、日本に何年住んでいるかなど
父親がハーフだということで、一般的な日本人の人よりもちょっと変わった環境で育ってきたかなと思います。いろんなところに住む経験をしたり。今は外資系の化粧品の会社で働いていて、化粧品っていうのが女性にとってのセルフケアの道具になると思ったので、女性にやさしい社会を作るっていうコンセプトのある会社で働きたいなと思って働いています。
2. なにがきっかけで日本もしくは外国で暮らしていましたか?
父親が日系アメリカ人で、アメリカで生まれました。その後、両親の考えで、日本で子どもを育てた方がいいだろうということで日本に戻ってきました。でも結局、私はアメリカの大学で勉強したいと思ったので大学はアメリカに行きました。帰国後はずっと日本で働いていたんですが、夫がアメリカの大学に戻りたいということで、また2年住んでいて、今は東京に戻ってきたところです。
3. 日本の社会の中で、ジェンダーの面で一番驚いたこと、衝撃を受けたことは何ですか?
アメリカの大学から帰国して初めて日本で社会人をスタートしたときに、ITコンサルの会社にいたんですが、そこではアメリカではないような「男女の扱いの違い」みたいなものが日常的にあって、それが許される社会だっていうことに驚きました。
―具体的にどういうことですか?
例えば、飲み会の席で偉い人の隣に座らされるとか、お酌をさせられるとか、それが「若い女性の役割」として当然のこととしてやらなきゃいけないっていうことが衝撃的でした。
―それに対して不快に感じましたか?それとも単純に驚いた?
単純にびっくりしました。びっくりしたのと違和感がずっとあったけど、その正体っていうのはその後ずっと30歳くらいになるまで分からなかったかもしれない。女性が男性と違うように扱われているんだって認識したのはもっと後になってからですね。ただ違和感がすごくあって。「なんでこんなことしなきゃいけないんだろう?」って。
―その当時はその出来事に対して対応したり、文句を言ったりはしましたか?
うーん、しなかったですね。やらなきゃいけないことなんだと思ってました。
―では、30代になってそれがおかしいと気づいたきっかけは何ですか?
多分、社会自体が変わってきていて、女性がまだまだ平等じゃないことが取り上げられるようになって、それをきっかけに自分の経験を顧みて、自分よりも若い女性が同じように扱われるのを見てこれは違うなって感じたのがきっかけです。
4. ジェンダーの不平等に関する困難や苦労にあなたはどのように対処していますか?
世の中がちょっとづつ変わっていってる中で、でもやっぱり女性軽視的なことに出くわすこともあって。特に自分よりも年が上の人たちにとってはまだ「当然のこと」で、そういう年上の人たちに「NO」っていうのはなかなか言いづらいなっていうときに生きづらいなと感じます。
―そういう時に相談できる相手や対処法はありますか?
その人の価値観だから、それを否定はしないけど、そこに迎合しないようにはしていて。けど、本当は言い返したいときもあるから、そこは葛藤としてあるかな。「他の人が嫌な気持ちになることはあんまりよくないですよ」ってふわっとした感じで意見したりすることはあるけど、なかなか難しいかなと。ただ、周りの友人とかは同じように女性の見られ方とかを経験してきている人たちだから、周りで共感してくれる人がいるっていうのは自分にとってはいいことかなと思います。
5. あなたには、 とても重要なメンターや影響力のある人がいますか?
何人かいます。最初に思い浮かぶのは、母親と叔母。二人とも自分のやりたいことをちゃんとやっていて、そこまで相手に対して声を上げて女性の権利みたいなことを言っているわけではないんだけど、自分のやりたいことにフォーカスして周りの声はシャットアウトして生きたいように生きている人たち。多分、辛いこともたくさん経験しているからこそ、他の人たちへの理解もすごくあって、見た目とかでジャッジしない生き方をしている人たちです。
6. 自分がフェミニストだと思いますか?
そう思います。自分が今、30代半ばになって、昔よりもはっきりとこれは女性に対して平等じゃないって思うことがなんなのかわかってきて、それに対して自分の中でだめだっていう気持ちがあって。言える場所ではそれに対して「NO」って言う姿勢もあるし、自分以外の女性に対して、女性にとってこの社会がもっといいものになればいいなっていうことを意識して仕事も生活もしているので、それはフェミニストっていう考え方に通じるのかなって思います。
7. あなたにとっての成功の定義とは何ですか?
2つあって、1つは自分のことに関しては、周りの事は関係なく、自分の価値観で幸せだって思える生活ができることが自分にとっての成功かなと思うのと。もう1つは、自分が生きていく中で関わる人とか仕事の中で女性がより活躍しやすい環境っていうのを少しでも作れること。小さな変化でもいいけど、そういうことができたなっていう実感が持てたら、自分のなかで成功って言えるかもしれない。
―具体的にその変化を起こすために計画していることはありますか?
今の仕事でいうと、販売員のお世話をしていて、ほぼみんな女性なので、その子たちが自分の意見をもってより生きやすいような生活ができるように話すこととか、「今のままでいいよ」っていうのを伝えることが今できることかなと思って、日常的に人とかかわるときに伝えられるようにと思っています。会社でのボランティア活動やそれこそF-Wordでの活動をできる範囲でだけれど参加し続けていきたいです。
8. あなたのどの面が比較的男性っぽいですか?また、あなたのどの面が比較的女性っぽいですか?
「男っぽい女っぽい」って定義が難しい、、、既定の定義で話すと狭い考え方だなって思っちゃうんだけど、、、でも、そもそも自分は女性っぽい感じなんだろうなとは思います。外から見た感じも、話し方も柔らかい感じで、自分でもそう思うし、周りから見ても女性っぽいなって思われるだろうと思う。でも意外と、男性っぽい部分もあって、結構合理的に考える、、、でもこういうと「女性って合理的じゃないの?」ってなっちゃうからちょっと難しいんだけど、、、この質問難しい。ステレオタイプ的に考えると、男性っぽさは結構あって、合理主義的に考える(笑)自分の中で選択肢がはっきり決まっていて、誰かに相談せずに自分で決めるところ、、、それって男っぽいのかな??ちょっとステレオタイプだけど、、、、一番いいのは中性的でいられたらいいのかなって思います。
9. 将来の計画はなんですか?(ご自身の計画と社会への希望)
社会への希望ははっきりしていて、自分が新卒で働き始めてからずっと思っていることなんだけど、特に日本の女性っていろんなことを我慢して否定されて生きてきた人が多いなって感じていて、もっと女性が男性と同じくらい、とはいえ男性も縛られている部分もあると思うから、世の中全体がもっと固執した考えに縛られないで自由に生きられる社会になったらいいなと思っていて、それがイコール女性が元気になるってことだと思っています。自分に自信を持てる女性が増えればもっと女性が活躍できる場所が増えてくるんじゃないかと思ってます。そういう社会になることが希望かな。自分にとっての計画は、難しいんだけど、最近、自分が年を取ってきて考え方が頑固になってきたりとか、自分が固執している考え方とかこだわりがでてきて、できるだけ何歳になっても柔軟に考えられる人であり続けること。人の意見が聞けて、自分が無知だってことを知っている、死ぬまでずっとそういう風に考えられることが一つの目標かな。