くぼの きょうこ著
秋学期も終わり、冬休みに入った今、急いで片づけなければならないことが2つあった。まず、女性クリニックに行き、約13,000円の6シートのピルを買わなければいけなかった。ちなみに、他の婦人科や産婦人科の病院がどうなっているかわからないが、私の通っている女性クリニックでは6シートが受け取れる最大の量と同時に少しだけ割引される量でもある。次に、子宮頸がん・体がん・卵巣がんの検診を初めて受けた。このうち、子宮頸がんの検診の金額のみ私の住んでいる市から全額補助された。
初めに、なぜつい最近までピルを使ってなかったり、子宮のがんに関する検診を受けてこなかったりしたのかを説明していきたいと思う。私の祖父母は薬やワクチンに対して信用しておらず毛嫌いしていた。祖母は私が幼少期に風邪になるたびに、焼いたネギを私の首に巻きつけてくれていた。私の母は小さなクリニックで事務をしていたにも関わらず、病院が嫌いである。特に今でも記憶に残っているのは、まだ未成年で親が私の保険証を持っていた頃に喘息や紫斑病性腎炎になっても、酸素が吸えず苦しくて動けなくなったり、脚の血管が破れ脚にたくさんの紫斑ができ歩けなくなったりするまで病院には行かせてもらえなかったことだ。そして、母はセックス、生理、おりものや妊娠といった身体に関する私の質問をとても不快に感じている。さらに、私の父は(意図的に)女性の身体の機能について無知である。父が偶然、私が生理で血の付いた下着を洗っているのを目撃した時、私のことを特に心配することもなく気持ち悪いものを見たような顔をしていた。このような環境で育ってきたため、私の身体について学ぶことや必要な時に病院に行くことをとても恥じて生きてきた。実際に、バイト先の上司に私の重い生理について話すまで、ピルが一体どんなものなのかもよくわかっていなかった。彼女が私にある女性クリニックのことについて教えてくれた後でさえも、薬や病院に頼ってはいけないと感じそのクリニックに行きピルをもらうことが怖かった。幸いにも、彼女が一緒に付き添ってくれ、21歳という年齢で初めて女性クリニックに行くことができた。その病院ではすべてのピルの使用者にピルの副作用が無いかを確認するため使用開始から1年以内に子宮頸がん検診を受けることを強く勧めていた。
しかし、大学で勉強している間このことを完全に忘れていて、医師からもその検診について再度言われ、その検診のための市の補助金についても教えてもらった。私の市の子宮頸がん検診のための補助金について調べ、ネット上で簡単に申し込みができた。2,3週間後に市役所からその補助金を病院で使うために必要な書類が届いた。今振り返ると、市の補助金について知らなかったら、およそ6,000円もする検診を大学生の金銭状況でそこまで積極的に受けようとは思えなかっただろう。そして、私の母はメディアの情報から子宮頸がんワクチンの質にとても懐疑的だったため、私は思春期にそのワクチンを一度も受けたことがなかった。このことを医師に伝えたら、とても驚いた顔をし、私に深刻な副作用が起こる確率をデータを見せて教えてくれた。ある意味でカルチャーショックのようなものを経験し、メディアや私の家族によって情報操作されていた自分を恥ずかしいと感じた。これが原因で市から保障されている検診だけでなく、7,000円程の子宮体がんと卵巣がんの検診もついでに受けることを強く勧められた。正直言うと、次の春学期の学費を分割で支払い終える前にそんな大金をピルや子宮がんの検診に費やしたくなかった。それにも関わらず、最終的には私の子宮が正常に機能していることを確認するため3種類すべての検診を受けることを決めた。
子宮頸がんの補助金のための書類を持ちその女性クリニックへ行った。名前が呼ばれるまで待っている間、痛かったらどうしようと思ったり、男性医師の前で脚を開くことへの恥ずかしくなったりし検診に対しとても不安になった。名前が呼ばれ、診察室に入り椅子に座った。医師は落ち着いていて、私のピルについていつものように尋ねてきた。そして、隣の部屋に移動し、ズボンと下着を脱ぎ、その部屋の椅子に座るように言われた。椅子に座ると、女性看護師が今座ってる椅子が動き、開脚状態になることを伝えてくれた。この段階で、死ぬほど怖くて恥ずかしい気持ちでいっぱいで実際に何が自分の身体に起きていたのかはよく覚えていない。6,7分後、その医師は表情も声音も変えずに子宮がん用の血液検査以外すべてを終えていた。次に、私の子宮のエコー画像をくれ、どれがどの部分で私の子宮はどんな状況かを教えてくれました。最後に、子宮に関するがんに関連した成分が無いかを見る血液検査のため採血をしました。私が通っている女性クリニックでは採取した血液や細胞を外部の検査機関に分析を委託しているため、一か月以内に詳細な検査結果が手紙で送られるようになっている。
とにかく、ピルと市の補助金でカバーされていない2種類の検診の総額には喜べないが、ひとまず必要な検診を終えられたことは嬉しい。そして、私の担当をした医師はとても専門的なので身体のにおいや見た目で私たちのことを一切勝手に判断しないということを知った。簡単に言えば、私が一人で勝手に検診に対して怖がり恥ずかしがっていたわけである。次回は子宮がんの検診を受けることや脚を開くことを恥じることは”多分”無いだろうと思う。忘れてはいけないのが、子宮頸がんや乳がんの検診を受ける予定なら、市で金銭的補助があるかどうかぜひ確認してみてほしい。