「ありのままの自分を恐れない」

インタビュー対象者:森 めぐみ(The F-Word理事)
インタビュー実施者:山名 奏子

–簡単な自己紹介をお願いします。名前、DOB、人種・民族、性別、日本に何年住んでいるかなど

森めぐみ、42歳で東京出身です。シングルマザーに育てられ、2度の国際結婚と2度の離婚を経て、今は母と動物3匹と暮らしています。趣味はネットフリックス、食べることが好き、音楽好き、筋トレが好きです。

–どんな国に住んだことがありますか?

大学時代にバイトを3つしてフロリダに2か月語学留学に初めて行きました。26歳の時にはスコットランドのエジンバラには2年ほどその当時の婚約者と住んでいました。そこで保育園の先生を1年ほどしていましたが、通勤が大変になってしまってエジンバラ市内の日本食レストランで働いていました。その時が一番お金に苦労した時期かもしれません。お財布にポストイットを貼って、今週は10ポンドで生活するって、そこまでやってました。でも面白かった、勉強になった。その後、また結婚してイタリアに行きました。3,4年住んでました。

–ジェンダー問題に興味を持ったのはいつですか?またなぜ興味を持ちましたか?

なんだかんだいって、日本って「男であることに価値がある」っていう扱いをされちゃっている人が多いっていうのは、肌感では感じています。でも、もう怒りとして感じるのは終わっていて、もう「そういう風になっちゃうよね、おっさん」っていう感じになっちゃってる、最近は。脚広げて電車で座っちゃうような育て方をされたんだね、しょうがないって思ってしまう自分はいる。江戸時代なんかは息子が生まれたらお母さんより偉い、みたいな価値観だった国だから、それがまだ続いているなぁとは思う。なんか男だったらそれだけで許されることがあるなって思うし。

-では、そういう男性主体の中で、自分が女性として嫌な思いをしたことはありますか?

小さいことで言ったらしょっちゅうマンスプレイニング(※男性が女性に上から目線で解説すること)はある。こっちが話しているのに男性が何か言うとみんなそっちを聞くみたいな。大学時代で一番覚えてるのは、同じクラスの男の子に「森さんって、朝ごはん何食べてるの?どうやって生きてるの?なんでそんな感じなの?」って自分の意見を言った後に言われたことがあって。「何その質問?」って思ったの。フェミニズムを大学で取ってたりして、そういう話をしていたら、宇宙人みたいに扱われた記憶がある。

他にも、20代の時にタレント事務所でマネージャーをしていた時に、まだ世間知らずで、プロデューサーとか芸能人とかのスタッフをしてたんですけど、その時はすごく性的にObjectifiedされたなっていうのはありますね。でも当時は声も持ってないって思ってたし、へらへらするしかなくって、今思い出しても悔しいなって思うことはある。「南の女は強いから」どうたらこうたら言われたりとか、カテゴリーに分けられて話されるとかはあった。あからさまに、女性が劣っていて男性が優れているっていうことには対面したことはないけど。

–そのようなジェンダーの不平等に関する困難や苦労にあなたはどのように対処してきましたか?

気だけは強い子だったので、言うことは言ってたとは思う。自分の意見で何かを正そうってところまではなかったけど、「なんでそんなこと言うの?」とかは言ってたと思う。

–ジェンダーの問題を考えるときに何が助けになりましたか?

アリス・ウォーカーの「喜びの秘密」っていう本を読んだことがあって。女性器を切除する話し。大学生の時にそれを読んでショックを受けて、女だからこういう苦しみを体験しなければいけないんだっていう驚き。女として生きていくんだったらすごい覚悟しなきゃいけないんだっていうのを植え付けられたなぁ。女ってそういう性なんだ、っていう。自分の受けてることは大したことない、って思いながら、女性器を切り取られた女の子は私だったかもしれないって思うと、自分たちはそういう性なんだっていう気持ちになった。いろんな場所とか地球とかレイヤーはあるにしろ、人間って意識下で繋がれると思っていて、同じ年齢の女性がアフリカのどこかでこういう体験をしているっていうのにすごくリレートできた。

–あなたのどの面が比較的男性っぽいですか?また、あなたのどの面が比較的女性っぽいですか?

日本の男と女像ってはっきりしてると思っていて、「男はずっとProvider、女はずっとProtector」みたいなのがあると思う。日本の男の人たちって、これは嘆かわしと思うんだけど、自分よりちょっとバカで幼稚で若い女の子が好かれる文化だと私は思っていて。AKBとか。50代の男が10代の女の子をSexualize(性的対象)して写真撮って、何百万もつぎ込むみたいな変な文化だと思ってる。私は日本人の女性にしては珍しく、恐れずに自分の意見を言うとか、1か国以上話すとか、スタンダードとは違うから。私の友達で慶応大学を出た女友達がいて、大体の男性は私が慶応大学だっていうと連絡してこないって言っていて、男性が自分よりも女性が知能が高いと判断したら勝てないと思って引っ込んでいくのは悲しいなと思う。だから、自分の意見を議論を恐れずに言える自分のことは好きだし、珍しいんじゃないかなと思う。女らしいっていうのは、、、よくわからないなぁ(笑)ありのままで自分でいて、それが賞賛される社会が理想だから、私もそれを体現していきたいと思っているから。いっぱい化粧しておしゃれしているのも私だし、Lazy(怠けている)にしているのも私だし、Sexual Desire(性的欲望)とかも言葉にしてっていうのも私だし。Speak up(声を上げる)していって、それがそれでいいんだよっていうのを多くの女性に知ってほしいから、自分からやらないとって思ってるかなぁ。

–あなたの仕事または生活における成功の定義とは何ですか?

仕事でいつもハッピーってことはないと思うんだけど、でもポジティブな気持がネガティブに勝っている状態だったらいいと思う。自分が人を助けられてるとか手伝いになってるかとか、毎日前向きな気分になれるかとか、一人でも多くの人に貢献できているかっていう使命感が生まれていればいいなと思う。自分がしていることが誰かを助けたり、家族にやさしくできる要因になったり。私は英語の先生だから、生徒さんがレッスンを受けて、仕事で誰かに褒められたとか、いい経験ができて、いい気持になって、帰って家族にやさしくできてっていういい相乗効果が生まれたらいいなと思う。

–あなたには、 とても重要なメンターや影響力のある人がいますか?

私の母はフェミニズムなんて言葉も最近知ったくらいだろうし、自分がasexual(※他者に対して恋愛感情や性的感情を抱かない)っていうのも最近知ったくらいだけど。彼女が美容サロンをやっているのは、女たちが顔がきれいになるだけで自信が持てて頑張れる社会、女がきれいな社会は強い社会だって思ってるの。女たちのために40年50年ずっとやっていて。彼女は生粋のフェミニストだと思う。私が2歳か3歳の時に、暴力夫と別れて、赤ちゃんを抱えて、進んできた彼女の人生を見てきたので、女が頑張るのは当たり前って思っていて。男の給料に頼らずに、自分に腕があれば生きていけるって思っていて、私にとってはそれが英語で。なんでもやろうと思えばできると思ってる。

–あなたは、自分がフェミニストだと思いますか?

フェミニストでいたい人。フェミニストの定義って、女が男より勝っているってわけじゃなくて、男と女がいろんなところで平等だよっていうところを体現して、そういう社会を目指している人だって思っていて。そういう人でありたいと思うし。時代とともに定義が変わるんだったら、変わっていく定義について行って理解して、フェミニストでいたいと思ってる。

–将来の計画は何ですか?
a. ご自身の計画

パートナーは見つけたい。価値観が一緒で知的にもいろんなことを刺激し合っていけるパートナーがいたらいいと思う。

b. 社会への希望
もっと、男と女の壁をなくそうよって思う。その人のいたい世界とか、その人の能力とか、顔とか名前とか性別とか関係なく過ごせる世界になったらいいと思う。「女性の管理職を30%以上」とかじゃなくて、女だからいいってわけじゃないから。自分がこうなんだよっていうのを周りに見せることを怖がらない人がもっと増えたらいいと思う。本当の自分でいるっていうことが幸せだと思うし、そういう人が増えていったらいいなと思う。