オカシオコルテス議員のスピーチに見る、日本とアメリカの女性軽視問題

7月23日に議事堂で行った、オカシオコルテス議員のスピーチがすばらしかった。
テッド・ヨーホー議員が彼女に対して言った、暴言の数々に対するスピーチだ。
ヨーホー氏はオカシオコルテス氏に対して“頭がおかしい、いかれてる”などと発言し、その最後に、“A fucking bitch.”と言い捨てたのだ。
そして翌日の謝罪(?)でも、自分には妻と娘が二人おり、自分の発言に対しては認識している。誤解を与えたならお詫びしたい、と発言し、それに答える形での彼女のスピーチとなった。

【Rep. Alexandria Ocasio-Cortez’s Full Response to Rep. Ted Yoho】
https://www.youtube.com/watch?v=Q3Xjv03Qrtc

【女性軽視】
そもそも女性軽視は新しいことではない、とオカシオコルテス氏は言う。新しいことではないのが問題なのだ、と。地下鉄や街を歩いているだけで、ひどい言葉を浴びせられる、と彼女は言う。日本でもよく聞くのが、街でナンパを断ると「ブス」と言い捨てられるという話だ。それも全く同じで、「女は自分の思い通りになるべき」という軽視と「思い通りにならない女」には暴言を吐くという2重の女性軽視が見て取れる。このような問題が放置されて、毎日のように当たり前な日常として起こってしまっていることが問題なのだ。女性が当然そのようなひどい仕打ちに我慢するのではなく、堂々としかも丁寧に声を上げているとてもよいスピーチだと思う。

【自分にとって身近な女性とその他の女性】
このスピーチのもう一つ素晴らしい点は、ダブルスタンダードを的確についていることだ。ヨーホー氏には妻と二人の娘がいて、オカシオコルテス氏は彼の娘よりも年下だという。彼の暴言は、他の男性が彼の妻や娘に対して同じように女性を扱ってよいとすることと同じだと発言し、さらには家族がいることがその人を「Decent man(しっかりした人間)」にするとは限らないという。私の周りでも残念ながら、自分の「母親、妻、娘」と「風俗で働く女性」は全く別物だと捉えている人に会うことがある。男性の都合で女性をカテゴリー分けして「良い」「悪い」を決めるのは完全にダブルスタンダードであり、許されることではない。

【社会の問題】
最後に、このような問題は、この事件に限ったことではない。文化的なものだという発言だ。女性差別の話をすると、「日本に比べたらアメリカはましでしょう」と言われることがよくあるが、アメリカでもこの様である。何をどう比べるのかは難しいのでここでは議論しないが、Political Correctness(政治的に正しいこと)がはっきりしているかどうかでいうと、日本ほど性差別が垂れ流されていないにせよ、アメリカも男女平等社会とはいいがたい。こういう問題を丁寧に、わかりやすく話してくれた彼女のスピーチはぜひ一度聞いてみてほしい。